こねかみ日記

兵庫県の北部「香美町」の学生団体こねかみのブログです。

🌾香美町の食🐟 今西大空ver.

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こんにちは!こねかみ2期生の今西大空です。今回のテーマは「香美町の食」についてです。

先日、新たな試みとして、皆さんにTwitterInstagramで「こねかみ日記」のテーマを選んでいただきました。多くの投票やDM等ありがとうございました。結果は、こねかみが今後活動していくうえで活用させていただきます。
それでは早速本題の方に入っていこうと思うのですが、今回のテーマ、真っ先に出てくるのは海産物なんですよね笑笑
香住出身の私にとって香住の食といえば、カニカニカニ、、、、、、、。
昔から「香住といえばカニでしょ」といったイメージしか持っていなかったものですから、まずはそのような凝り固まった考えをほぐすのに時間がかかりました笑
さすがにありきたりに海産物について書くのは面白くないので、今回は私が香美町で生活していた高校生までの思い出で「食」が関係していたことを書こうと思います。


私の実家のご近所さんは現役・元漁師、漁港の直売店・加工場に勤めておられる方が多いです。

作業着に身を包み、白い長靴を履き、自転車をこいで海の方へ向かう人や漁業関係の車が朝早くから家の前を通っていたことをよく覚えています。

私の家では、ご近所さんから分け前でカレイやハタハタ、甘えび、イカなど多くの海産物をいただき、私の祖父母が代わりに畑でとれたや野菜などを渡していました。

小さかった時は、食卓に並ぶ刺身や煮つけといった魚料理が近所の家からもらった魚だということは当たり前だと思っていました。

しかし、高校・大学と進学して香住以外の人と関わるようになってからは、物々交換・おすそ分けの習慣は他の地域には中々無いものだと気づくようになりました。


夕方、祖母が夕食の支度を始めるあの絶妙な時間帯に玄関先のチャイムが鳴り、玄関が開いて近所のおばちゃんが祖母を呼ぶ声がする。

すると、それに気づいた祖母は料理を一旦やめ「はーい」といって玄関に行き、そこから「こんなにええんけ、ありがとう」と言い、自宅の野菜が置いてあるところに行き、カボチャや大根、その日取れた野菜を袋に詰めてもう一度玄関に向かう。

そこからは、居間でテレビを見ている僕にまで聞こえる声で二人の長い先見話が始まる。

話が終わって帰ってきた祖母に誰だったのかと尋ねると、屋号で教えてくれるが、私は屋号では分からないので隣にいる祖父に改めて尋ねる。
この光景が香美町で当たり前かどうかはわかりませんが、私の家ではよくある光景で、私にとって懐かしいものです。


そして現在、私もこの光景を傍観する側ではなくなりました。

先日実家へ帰省した際、高校卒業後漁師として働く友人と家の前で偶然再会しました。

お互いの近況報告やたわいもない話をして別れようとすると、彼は何かを思い出したかのように僕を呼び止め、彼の自宅に一度戻り、大きなビニール袋をもって僕の方へ向かってきました。

彼は「この前の漁で取れたカレイ、そらにあげるわ」と言って、大きなカレイが入った袋を僕に渡してくれました。

この前まで同じような景色を見て育ってきた私たちでしたが、あの時の彼は逞しく、同時に「僕も頑張らなければ」と思えました。
少しだけ成長して、自分たちの立場が変わってきて、なんとなくですが、あの時に私の実家周辺のコミュニティの形が垣間見えたようにも感じました。


食卓に並ぶ料理に使われている食材の生産者の顔がダイレクトに分かるため、なぜ私たちの暮らしが成り立っているのかがよく分かります。

私の家は漁師ではないので、私たちなりのやり方でなんとかその人たちにお返しようと思うのです。


大きなコミュニティではありませんが、情報共有や労働交換、社会貢献などの意識がそれぞれにあり、職業や地域の立場を通して協力し合う。

「隣の○○さんが○○してくれたから、うちは○○しよう」と、お互いの信頼関係があるからこそ協力し、協力するからまたそこに信頼関係が生まれる。

そんなコミュニティが成立しているように思います。
香美町の「食」は観光業や単純な生活動作の一つではなく、そこで暮らす人々にとって各家と地域コミュニティが繋がるための重要な媒体であると思います。

この春休みの帰省もこんな光景が見れることを楽しみにしています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回は水田嶺央さんです!
お楽しみに!

 

(文 : 今西大空)